こんにちは! ブログ担当の渡邊です。
早速ですが今回は、三味線についてご紹介したいと思います!
先月の小林さんの社内研修ブログでも少し記載させていただきましたが、メンテナンススタッフ一同も昨年の暮れにプロの三味線奏者である馬場さんから研修を受けました。小林さんが受けた社内研修とはまた違った趣きといいますか、我々は実際に三味線のメンテナンスを行っておりますので、三味線という楽器を深掘りしていくような感じでしたね。我々の知識が追い付いていないところも多々ありまして、とにかく馬場さんを質問攻めにした研修となりました(笑)
でも馬場さん、すごいんですよ。何を質問しても返ってきます…! どんな球でも拾うテニスのジョコビッチ選手のようです。
この研修だけでぐんと三味線について詳しくなりましたので、皆さんにも三味線の魅力についてシェアさせていただきたいと思います! よろしければぜひお付き合いくださいませ☆
まずは三味線のサイズや材質から。
三味線の歴史については以前ブログを書かせていただきましたので、2年前の記事になりますがこちらもお読みいただけたら嬉しいです!
三味線には「細」「中」「太」の3種類のサイズがあります。弊社で取り扱っているのは「細」と「中」。「細棹(ほそざお)」と「中棹(ちゅうざお)」と呼ばれるものです。津軽三味線奏者の馬場さんは「太棹(ふとざお)」を使っています。

こちらの画像を見ていただいたら何となく雰囲気が伝わるかと思いますが、太棹の津軽三味線は胴も大きく、張られている糸も太いです。細棹と並べてみると、ぱっと見ひと回りくらい大きさが違いますよね。そのため、津軽三味線は音量も大きくソロ向き。サイズが小さくなるにつれて音量も小さくなりますので、細棹や中棹はどちらかと言えば合奏に適しています。
ここで「それじゃあ、細棹と中棹って何が違うの?」という疑問が出てくると思いますが、高音が少し違うのだそうです。
馬場さん曰く、細棹はつやっぽくて繊細な音。太棹はダイナミックで迫力のある音。中棹はしっとりとした落ち着きのある音色で、歌声などとも合わせやすいバランスの取れた音域が特徴のようです。
で、私はこの棹の違いが大変興味深いと思ったんですね…!(またまたうずく歴史オタクの血)
三味線の歴史を紐解いてみますと、三味線は室町時代後期に琉球王国から「三線」が輸入され、まずは大阪・堺市を中心に広まっていきました。伝来した三線を改良し、約30年かけて安土桃山時代には現在のような三味線が完成したといわれています。
最近たまたま「舞妓Haaaan(2007年の邦画です)」という映画を観ましたが…舞妓さんのお座敷ではおそらく細棹で演奏しているんですね。これはまさにつやっぽく軽やかに歌う舞妓さんたちに合わせるためかと。
対して津軽三味線(太棹)は、明治時代に生まれた比較的新しいジャンルだそうで、東北の雪国を門付(かどづけ)して歩く際、音がよく響き渡るよう荒々しくダイナミックな音色になっていったそうです。門付というのは、人家や商店の門口に立って芸をして報酬を受け取ることなんだとか。大道芸と近い感じですかね。
雪国はとても寒いので、昔のおうちは門から居間までが遠かったそうなんです。そのため、門付でやって来た奏者が、家人が居間から出てきてくれるように大音量でインパクトのある演奏をしていたそうです。風土によって楽器が改良されていったというのも興味深いですよね。
材質は主に「花梨(かりん)」「紫檀(したん)」「紅木(こうき)」の3種類。花梨は初心者向けの三味線によく使用されています。棹で使用する木は密度が大事なのだそうで(音質に影響を与えるため)、その中でも紅木は最高級の密度を誇ります。馬場さんの三味線は紅木のものですが、紅木の三味線は超高級品です。
紅木の中でも特に良い木には「トチ」という虎柄に似た独特の模様がありまして、このトチがあればあるほど良いとされているそうです。

これがトチです。分かりますでしょうか?
馬場さんの三味線にも当然トチがたくさんありましたよ…! 何と言いますか、とてもきれいな棹でした。そうそう、三味線って「三つ折」といいまして分解できるのです。馬場さんも分解して持ち運びをしているのですが、我々恐れ多くも胴を持たせてもらったんですね。日頃は細棹のメンテナンスばかりなものですから、太棹の胴はとても重く感じました。そのため、馬場さんの胴にはこんな感じで滑り止めがついています。

この胴をくっつけてあるんですから、そりゃ棹が細かったら心もとないですよね。折れてしまいます。

分解して持ち運びしている図です。
なぜ三つ折になっているかというと、棹を一直線に保つためです。長い一本の木のままだと乾燥などの外的要因で木がそってきてしまいます。そのため、細かいパーツに分けることで棹をまっすぐに維持できるようにしているのですね。
棹を組み合わせる部分・継手(つぎて)が折れないように、「仮継(かりつぎ)」という保護カバーのようなものを必ず装着するそうなのですが、これはその三味線専用として作られるもの。無粋な話、調べてみたらこの仮継だけでもかなりのお値段…。そもそも紅木でできている三味線がものすごく高額なのです。紅木の三味線は、品質維持にも大変お金がかかると思いますね。今回は研修の一環として馬場さんの演奏も聴かせていただきましたが、次回からは正座して聴きたいと思います。
そうそう、この棹なのですが(まだまだ続く棹トーク)、演奏すればするほど棹の面に糸の跡がついていきます。奏者が音を操るときには「勘所(かんどころ)」を押さえて演奏しますが、棹が糸で削られて溝になってしまうことを「勘減り(かんべり)」といいます。(勘所のことを「ツボ」とも呼びます)
この勘減りができてしまうと音が変わってしまいますので、カンナで薄~く削ってフラットな面に整え直すのだそうです。たくさん弾くから勘減りができるわけですが、頑丈といわれる紅木を糸で掘るほどの演奏ってすごいですよね!
さて…まだまだ棹の話しか書いていないのですが、思いがけずかなり長くなってしまいました(笑)
今回はここまでにさせていただきまして、次回は駒やバチ、糸のご紹介をしたいと思います。次回もどうぞお楽しみに!
今回も最後までお読みくださり、ありがとうございました☆
